20代から出来るスマ婚のススメ
08年12月、30〜40代の主婦をターゲットに発売されたクルマ「P」のキャッチコピーは「私たち、主婦で、ママで、女です」だし、40代主婦のバイブルとも言われる女性誌『S』の表紙には、最先端のファッションとともに「40代、もう一度恋する」「いつまでも『夢見る女子』でいよう」といった文字が、軽やかに躍る。
だが彼女達が、自宅でも常に身奇麗にしているかといえば、残念ながらそうとは言えない。
私達がグループインタビューを行なっても、「お友達と銀座に行くときはオシャレする」「でも夫と家にいる時は、いつも着古したユニクロ」「夫なんて、どうせ何を着ても褒めてくれないしね」といった具合。
たぶん慣れた夫との間では、第2段階のエコ恋愛を軽視して、「愛より生活」「ゼロ恋愛もやむなし」となるのだろう。
もちろん、妻達にも言い分はある。
その典型的なセリフが、「いくら身奇麗にしても、夫が気付いてくれない」。
確かに、20代のオシャレな草食系男子は、自分もオシャレに敏感だから、妻が髪型やファッションを変えれば「どうしたの?」「それいいね」とすぐ気付く。
だが少し上の世代の男性は、パッと見にさほど関心がないから、妻の変化をスルーしてしまうのだろう。
結果として、妻も「別にいいや」となる。
分からないでもない。
でも夫もいまの時代、相当疲れている。
まして不況となれば、既述のように「自分こそ癒して欲しい」と考える男性が多いもの。
だったら、こうは考えられないだろうか?夫が気付いてくれなくても、仕方がない。
その代わり、私は子どものために身奇麗にしていなくちゃ、と……。
というのも、実は母親が身奇麗にすることは、わが子の将来の結婚にとっても大切らしいのだ。
それを教えてくれたのは、M教授。
彼はいま、関東近郊の幼稚園で、子どもを持つ母親に向けた講演を行なっている。
テーマの1つは、「わが子を一生独身にしないために」。
M教授いわく、昨今はM大学でも、結婚に興味がない草食系男子が増えているという。
このままでは未婚化がさらに進む、と考えたM教授は、数年間かけて彼らの育った背景などを調べた。
その結果、共通する以下3つの特徴が浮かんだそうだ。
1.卒業した学校が、中高一貫の「男子校である」、その場合、大学生でもカノジョがいない割合が、共学卒の3倍以上にのぼる。
2.家事に興味がないわけではないが、体が動かない。
母親が、昔からあまり身奇麗にしてこず、女を捨てたふうである。
3.結婚後の妻に対する憧れがない。
1は男子校卒だと「女性とどう話していいか分からない」という男性が多いため、2は掃除や洗濯、料理といった結婚生活の基本が実感できない、だからなんとなく「結婚は面倒くさそう」と考えてしまうからだろう。
極めつけは、3。講演ではいつも、ここで会場がざわつくという。
母親(妻)が身奇麗にしていないと、息子が結婚に憧れない。
「いつか結婚したいけど、まだいいや」とぼんやりしているうちに、行き遅れてしまう可能性も高いというのだ。
これを聞いた私は、M教授に言った。
「これからは、婚活より前に“婚育”が必要な時代なんですね」と。
日本人がセックスに対してエコなのはいい。
恋愛にガツガツしない草食系男子も、どうやら時代の必然、不況の後押しもあり、世界各国で「結婚に向く男」として人気を呼んでいるようだ。
彼らとの恋愛や結婚は往々にして“癒し”に向かうから、ついお互い油断して、オシャレもせずにまったりしてしまうことも多いだろう。
でもだからといって、夫婦が“男と女”であることを忘れてしまうのは、絶対にもったいない。
大切なのは、地味でも誠意ある関係を続けていくこと。
セックスの頻度云々ではなく、フレンチキスなどで地味なスキンシップを図ること。
多少照れくさくても、お互いにエコな恋愛感情を確かめ合うことは、わが子の“婚育”にとっても重要だ。
バーニング恋愛に憧れる恋愛幻想は、もう要らない。
今後はエコ恋愛の維持こそがよりいっそう、夫婦に求められる愛のカタチ、になるだろう。
ところで、夫婦やカップル間で“エコ恋愛”が進むと、セックスの頻度が減り、子どもの数もさらに減るのでは、と危ぶむ声もある。
確かにエッチの頻度が減ることで、物理的には妊娠確率も低くなる。
最近は20代で結婚した男性でも、こんなことまで言うほどだ。
「聞いてくださいよ。
この頃、嫁(妻)が『面倒くさい』って、基礎体温を測らないんですよね。
排卵日がいつか分からなきゃ、ムダなことしちゃうじゃないですか。
それぐらいならもう子ども、要らないかなって思って」思わず「え…っ」と声をあげそうになった。
新婚5か月の彼(28歳)が言う“ムダなこと”とは、子作りにはつながらないセックス、のこと。
結婚前ならともかく、結婚してからはそんな“ムダ”なことはしたくない、とサラリと言うのだ。
でも、だからといってエコ恋愛の夫婦が少子化を加速する、とは限らない。
何しろ彼らは、親と仲がいいイエラブ族。
『ゼクシイ』の元編集長T氏によると、なんと最近は「家族全員でケーキ入刀」も珍しくないという。
取材中も、「結婚式こそ親孝行したい」「一緒にケーキを切りたい」「親への感謝の手紙を歌にして送りたい」といった声が、ポンポン飛び出したほど。
そんな彼らが「一番の親孝行」と称するのが、子作りなのだ。
「孫の顔を見せてあげたい」「子どもが産まれたら、3世代で旅行に行きたい」は、草食系男子の決まり文句。
結婚後も、妻か夫の実家から30分以内の距離に住む「近接居住」が、20代夫婦で6割、30代夫婦でも5割を超える(03年国立社会保障・人口問題研究所「第3回全国家庭動向調査」)。
もちろん、親が近くにいれば、「子ども(孫)にゲームを買ってもらえる」「土日に親に料理を作ってもらえる」など、様々な目論見もあるだろう。
でも「子作りして、親の喜ぶ顔が見たい」は、決して嘘ではない。
パパ仕様のオシャレなベビーカーや、カッコイイパパに向けた『O』のような男性誌が次々と登場すれば「パパってカッコイイ」「父親になりたい」との欲求は掻き立てられるはず。
子作りがイケメンでステイタス、となれば、敏感に反応する。
たとえ義務に近くても、親孝行だと思えば頑張って子作りする。
それが、草食系男子なのだから。
一方で、結婚前のカップルはといえば、こちらはエコ恋愛によるセックスレスが、未婚化・少子化を招く可能性も高い。
「ヘタは打ちたくない」と、もっぱらでき婚を嫌う草食系男子。
でも現状では、20代で結婚するカップルの43%、30代でも約1割ができ婚による結婚だ。
衝動的なエッチを「リスキー」と感じ、でき婚の男女が減れば、婚姻率も出生率も落ち込むのは間違いない。
では、未婚の男女がどんどん子どもを作れば、それですべてが解決されるのか?もちろんそうではないだろう。
日本では「子どもができたら結婚するもの」との概念が根強く、婚外子も2%と圧倒的に少ないから、でき婚のカップルが増えれば、一時的には婚姻率も上がる。
でも問題は、その後だ。
20代で結婚している男性が20代のうちに離婚する確率は、なんと35%。
30代男性に比べて、2割以上も離婚率が高い(08年国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」)。
明確な相関関係を示すデータはないが、20代でのでき婚が半数近いことを考えると、若くして衝動的に結婚したカップルは、離婚する割合も多いのではないか、と想像がつく。
いまの30代の親世代ぐらい(55歳以上)までは、年金もほぼ確実に支給されるだろうから、まだいい。
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